ママ・エコノミストの最適化ライフ

子育て・教育、経済や世の中のこと、グローバルなこと、ライフスタイルについて考えていることを書きます。

ポジティブ・フィードバックのすすめ

自分がやったことに対して、誰かからの温かい言葉をかけられるだけでヤル気が一気に高まった、という経験はありませんか。

 

誰かがしてくれたことに対して、感謝の言葉を述べるだけでなく、ポジティブで前向きで愛にあふれるフィードバックを提供する。こんなことが、相手のやる気を引き出し、可能性を高め、ひいては大きなイノベーションにもつながるのです。

 

フィードバックをくれるのは、子供の頃なら親かもしれませんし、あるいは、きょうだい、教師、上司、同僚、コーチ、クライアントからかもしれません。

 

たった一言の言葉、チャットメッセージでも、フィードバックには絶大な効果があるものです。

 

私も人生を振り返ると、身近な人のほんの一言の言葉がやる気や勇気を鼓舞し、様々な挑戦や達成につながりました。

 

また、日本の組織、国際機関、その他日本や海外の様々な小さなボランティア団体などにいた経験から感じることは、日本の組織でのフィードバックの少なさです。

 

自分が期待される以上の何かをやって、あるいは発言して、同僚から無反応であると、自分がやったことがどう思われているのか、どのような価値をうみだしているのかが判らないものです。

 

日本人の気質なのかもしれませんが、「言わなくてもわかるだろう」という考えが共有されているのか、誰かがしてくれたことを認めたり褒め合う文化がないのでしょうか。あるいは、「出る杭が打たれる」ということで、誰かがリスクをとってやったことが組織のなかではあまりよく思われないのでしょうか。

 

日本の組織や日本人がフィードバックし合わないとしたら、とても残念ですし、大きな損失にもなると思います。良質なフィードバックがないとせっかくの才能やポテンシャルが埋もれてしまうでしょう。また、才能があり海外にすぐ行けるフットワークのある人にとっては、あまりフィードバックもくれない日本にいるよりは、海外で良質のフィードバックのある環境にいるほうが能力も可能性も高められるので、海外に出てしまうかもしれません。

 

私がお世話になった大恩人が、ヴィランティ牧野祝子さんが先月(6月14日)出した著書「ポジティブ・フィードバック」(あさ出版)で、

 

「ポジティブ・フィードバックは思いやりを言語化した良質なコミュニケーション」

 

であると書いています。

 

アップル社を創ったスティーブ・ジョブズGoogleの創立メンバーなどが指示した有名コーチなども、良いところや業績をいつも強調する言葉がけで有名で、「必要な時に相手を思って肯定的な言葉がけのできる、いわゆる『ポジティブ・フィードバックの天才』が、部下やチーム、組織を動かし、成長を促し、導いてきた」、とのことです。

 

この本ではポジティブ・フィードバックの具体的な方法が満載で、すぐに使えます。

 

私も、この本を読んでから、身近にいる人(子供や家族を含む)に良いフィードバックを心がけ実践できるようになりました。

 

この本によって「ポジティブ・フィードバック」が日本でももっと普通に行われるようになり、多くの人がもっとイキイキと働けるようになることを願っています。

こんな発想も!マインドフルネスと文学

今流行の「マインドフルネス(=自分の考えや感じ方に意識を向け、受け入れること)」と古典文学とが、どんなふうに関係していると思いますか?

 

先日、太宰治の短編小説「女生徒」を読んで、マインドフルネスや日々の子供への読み聞かせについて色々考えさせられました。

 

この「女生徒」という本は、大正から昭和初期頃にかけての戦時下の日本を舞台に、父を亡くし母と暮らす10代の女生徒の日常をとりとめなく書いた、日記のような物語です。

 

まず、冒頭、朝に目を覚ます時の気持ちや主人公が思うことを書きつつ、どんな言葉で表すか考えている段落でこの物語は始まります。出だしから、内面の気持ちや細やかな感情を探り美しい言葉で表す太宰治さんの才能に圧倒されて、純文学を読む高揚感が高まります。

 

後半の、主人公が夕焼けの空を見ながら神々しさを感じ、神の存在に思いを馳せ美しく生きようと心に誓うシーンなど、鋭い感受性に裏付けられた風景描写・心の内面の描写にあふれています。

 

この主人公の女生徒がしていることは、現代風に言うと、「マインドフルな生き方」そのものだと思いました。

 

朝起きたり通学電車に乗ったり学校生活を送ったり料理をしたり、いつもの生活をするなかで、自分の心や他者の心情や周りの情景などを細かく深く観察し、言葉にし、自分は何を感じるのかを問い続ける生き方。

 

本書を読んだ後、私もこの主人公のように自分の心に向き合いマインドフルに生きたい、と思わせてくれます。

 

マインドフルネスの核となる考え方は、「自分の意識を今感じていることや考えていることに向けて、そうした感覚や考えをそのままオープンに受け入れること」(星友啓「全米トップ校が教える自己肯定感の育て方」朝日新書より)。

 

こうした価値ある古典文学を読むことで、心の中をこのように豊かな言葉で表せることを学べてマインドフルネスに役立つということに気付かされます。

 

最近よくある「心理学の最新研究成果に基づくマインドフルネス向上ストラテジー」などもマインドフルネス向上に役に立ちますが、そうしたものとは真逆にある古典文学も忘れてはならない、と強く感じます。

 

本書は短編小説なので、すぐに読めるのも良いです。

 

ところで、この本を読んだ背景は、私がパートタイムでヨルダンに住む小学校高学年の子供に教えていて、「夏休みに8冊本を読む」という宿題を課したので、子供にだけ要求するのではなく「身をもって示そう」と思い、教師として私も夏の間に8冊読もうと決めたことです。

 

私のキンドル端末にある電子書籍一覧を改めて見てみて、おびただしい数になってきた実用書・ノンフィクションに比べて、フィクション・小説・文学があまりにも少なく、特に翻訳でなく日本語で書かれた小説や文学作品がほとんど無いことに気づき、「何か文学を読もう」と思ったという事情もあります。

 

また、8歳の息子が歴史などのノンフィクションや子供図鑑などが大好きなので、近頃では、ついつい読み聞かせの絵本もノンフィクション中心になっていました。子供の心や共感力を育むには「物語・フィクション」を読むことが推奨されていますので、私は何とか「物語」の良さを子供に伝えたいと思っていたのに中々できなかった、という事情もあります。

 

でも、考えてみたら、親である私が物語を読んでもいないのに、子供に「物語・ノンフィクション」の良さを伝えられるはずもないですよね。親としても「身をもって示す」ことを実践してゆきたいと思いました(日々の反省をこめて・・・)。

 

という訳で、久々に「日本の純文学」を堪能するとともに、マインドフルな生き方を学び、子育てでも色々考えさせられました。

 

本書に限らず、日本文学でも外国文学でも、素敵な言葉をちりばめた作品がたくさんあります。

「最近は、実用書やノンフィクションばかりだなあ」と思っているなら、夏の間にフィクションを読んでみませんか?

ポリオを患いながら、大恐慌や第2次世界大戦の米国を導いたリーダーの伝記

以下は、佐藤千登勢著「フランクリン・ローズヴェルト中公新書を読んだ感想です。

 

日本人女性の歴史研究者にして米国でPhDを取得した学者による、日本語で書かれた稀なフランクリン・D・ルーズベルト(FDR)の伝記。

 

FDRの伝記は世界中では数多くありながらなぜ日本では稀なのかというと、もちろん、FDRが第2次大戦を日本と戦ったアメリカの大統領であるからに他ならないだろう。

 

FDRの幼少期から青年にかけての人生経験が、その後の政治家としての判断や生き方にどのように影響したかということがよくわかり、興味深い。例えば、父を早くに亡くし祖父と母に育てられたこと、学校での貧困者に対する奉仕活動、大学時代に希望したクラブに入れなかったという失敗体験から自分が何かを成し遂げるためには縁故などではなく自力で働きかけなければならないことを学んだこと、ポリオが彼にもたらした精神的強さや弱者への共感、ポリオ診断で所見を誤った医師との経験から自分は政策決定において複数の専門家に分析させ自分が決断を下すという姿勢など。

 

特にポリオについては、ポリオ療養のために表舞台から姿を消していた数年間があったからこそ、精神的に磨かれて優れたリーダーになれたこと、また、ブランクを経て絶妙のタイミングでNY州知事になり大恐慌下の経済の舵取りをしたことで全国的に名を挙げ大統領に選任されたことなど、見えざる手に動かされたかのごとく運命が決まってゆく様子が書かれている。

 

ニューディール政策の柱である失業者の救済政策の原理になる倫理観は、彼が14歳で入学した学校(当時のアメリカ屈指のエリート校)において、社会的弱者への奉仕活動を通じて見聞を広げ、そういった人々を助けなければならないという原体験から来たものという記述がある。経済政策は、現在はデータ主義であくまで科学的であることが求められる傾向にあるが、こうした倫理観や「Warm heart」が大切であることを改めて思った。

 

第二次大戦(WW2)前後、FDRが真珠湾攻撃前は日本との戦争回避を探っていたこと、などから、チャーチルの再三の要請に関わらずアメリカ関与を渋っていたFDRが何を考え優先していたのかを知ることができる(それまで関心の大半が内政や経済問題だったので、外交問題に積極的ではなかった)。また、国内の失業者の多さに鑑み、ユダヤ人救済には当初は消極できだったことなど影の部分も本書は伝えている。また、スターリンに対してはずいぶんと無防備だったことがわかり、FDRは共産主義に甘いと批判されていたことと合点がゆく。

 

WW2の後半の頃、体力が相当に弱っていながらも、アメリカ国民の要請に応える形で4選目に出馬し当選しつつも、やがて健康が蝕まれ1945年4月に亡くなる。多くの人は「FDRがあと半年生きていたなら・・・」と言うが、実際には健康問題が悪化し記憶力も減退し意思決定が難しく職務困難に陥っていた状態だったことが伺える。

 

また、女性歴史学者による著書ということもあり、FDRとエレノアとの夫婦関係や愛人との関係について記した記述も興味深い。WW2の最中の愛人の死がFDRに大きなショックを与えるなど、単なるゴシップとしてではなく、FDRの意思決定や最晩年の心身の健康にも少なからず影響しているからだ。

 

政治生命の大半をポリオとともに生きながら、大恐慌に立ち向かいWW2でアメリカ軍・連合国軍を主導した歴史的人物の人生を概観し教訓を学べる一冊。

 

大きな悲しみを乗り越えて、これからの日本のために考えたい2つのこと

安倍元総理が亡くなられたことについて、心からお悔やみを申し上げます。

 

私は第1次安倍内閣の頃に安倍元総理をサポートする立場におりました。財務省から出向していた内閣府で、徹夜で当時の安倍首相の国会答弁原稿を書いた日々を、懐かしく思い出します。

 

私は政治思想については安倍元総理とは異なる立場でしたし、安倍政権下の具体的な政策に異論もありました。それでも、安倍元総理の「日本を良くする」という志には賛同し、元総理が政治家として成し遂げた業績には心からの敬意を抱いています。

 

安倍元総理は「未来に向かって日本を良くする」ために大きな努力をされ、第2次安倍政権では7年にも及ぶ長期政権の舵取りをしながら日本の存在感を世界に力強く発信されていました。今世紀に入ってからの日本の首相として、安倍元総理は、小泉純一郎元総理と並んで、世界に日本の世界の人々に長く記憶される首相であったとこには間違いありません。

 

安倍元総理が今回のような形で命を落とされたことは、悲しく残念でなりません。

 

今回のことで私が危惧していていることが2つあります。1つ目は、今回のことが日本の言論環境や政治家の実行力に及ぼす影響です。2つ目は、安倍政権家での政策を冷静に評価し将来につなげることができなくなる可能性です。

 

1.日本の言論環境や政治家の実行力への影響

 

現の在日本は与党が圧倒的に強く野党が極端に弱いため、ただでさえカウンターバランスが働かず現政権の政策へのチェック機能も甘くなりがちです。これに加えて、今回のことにより全国で今回の犯人の模倣犯が現れることを恐れ、与党野党含めて日本の政治家が自分に危害が及ぶのを避けて、国民に対して「甘いこと」しか言わず、厳しいことをあえて言うような言論が萎縮され、政治家が当たり障りのないことしか実行しなくなる可能性があります。

 

日本は少子高齢化に伴う財政への圧迫、賃金・給与が上がりにくいこと、他の先進国に比べてデジタル化が遅れるなどして生産性が高まらないこと、円安、といった多くの課題を抱えています。ですので、政治家が国民(特に、選挙に対して大きな影響を持つ地方の高齢者)に対して「甘いこと」ばかりを言っていては、日本を良くすることはできません。将来の成長を促す分野に国家のリソースを投入するために、社会保障の見直しなど国民に対して厳しいことを求めていかなければいけません。

 

政治家が選挙民に「甘いこと」ばかり言って大切なことを実行しない場合、最も困るのは、若者と子供です。既に、社会保障等への支払いにより、国家予算のなかで十分なお金が教育に投資されるのが難しくなってきています。若者や子供にとっては、自分たちに十分に投資されないばかりか、将来的には負の遺産を背負わされることになるのです。

 

2.政策の冷静な評価

 

7年間に及んだ安倍政権において、アベノミクスと呼ばれた、積極財政と大幅な金融緩和が長期間取られており、現在も基本的にはそのスタンスを踏襲しています。大規模かつ長期に及ぶ政策ですから、当然ながら影の部分もあります。例えば、現在の円安は、安倍政権の頃から円安が事実上志向され金融緩和が取られてきたことに起因します。これから日本が現状を打開し前に進むには、アベノミクスの点検をしなければいけません。

 

もし、安倍元総理を弔うあまりに安倍政権下での政策が神格化され「批判してはいけない」という風潮になってしまったら、冷静な政策議論もできなくなります。



以上、ポテンシャルに溢れる美しい国・日本が、安倍元総理の悲しみを乗り越え、言論環境をひるませることなく、冷静な政策評価を行いながら、ますます強くなることを願ってやみません。

 

デフレの日本に生まれた子供が、バラ色の人生を送るために

「日本はモノの値段が安くなって、給料も低くなっているからあまり生活はできないらしいよね?だから、僕が将来日本のサラリーマンになっても、あまり良い生活ができない、って聞いたよ。」

これは、小学校5年生の子供が実際に言っていたことです。

私は今、ヨルダン日本語補習校という、ヨルダンに在住する日本人の子供のための学校で、週に一度勉強を教えています。私のクラスの生徒が、「将来の夢」について問われた時に、口にした言葉です。

さて、皆さんなら、10歳の子供に冒頭のようなことを言われたら、何と答えますか?

以下が、私がその子供に伝えたいことです。(子供に語りかけることを想定して、語り口調になってます)

 

==============
君が言っているのは、日本のデフレという問題だね。だけど、そんなに悲観的になる必要はない。それどころか、考え方や行動しだいでは、実は日本ではバラ色の人生が待っているんだ。

どうしてかな?

それを考えるには、まず、1)モノの値段の低下、つまり、デフレがもたらすものはなにか、2)日本の今の経済はどんなふうで、将来の経済はどうなるのか、そして、3)君ができることは何か、この三つを知る必要があるよ。

1.まず、デフレとはどんなもので、デフレがもたらすものは何か?

デフレとは、私達が買うモノやサービスの値段が、全体的に下がってゆくことで、日本の経済は長い間デフレから抜け出せずにいるんだよね。

日本では過去20年以上の間、低成長が続いていて、つまり、経済全体がそれ以前のようには成長しにくくなっている。そんな状況のなかで、人々(消費者)がモノをなかなか買わなくなったので、企業も価格を上げにくくなっている。なぜなら、自分の会社だけが価格を上げてしまう、お客さんが離れてしまうからね。その他に、最近オンラインで物が買えることになったこと、外国の工場で作られたから安いものがどんどん入ってくることなども、デフレにつながっているんだ。

そういうふうに、モノの価格がなかなか上げられなくて企業がもうかりにくいということは、裏を返すと、企業が従業員に支払うお給料や賃金も安くなってしまってるということだね。

残念ながらデフレのせいで苦しくなっている人の多くが、若い世代だ。こんな状況では、企業はこれから良い売上が見込めないと思い、若い人をあまり雇わなかったり、雇ったとしても非正規という低賃金で不安定な形で雇おうとするからだ。

なので、デフレのもとで、安い給料体系に甘んじている人が多くなり、働いても暮らしが豊かにならない「ワーキングプア」とか、会社に安月給でこき使われることに甘んじる「社畜」という言葉も生まれてしまった。

2.現在の日本はどんな状況で、これからの日本はどうなるのだろうか。

こんなことを書くと、日本の将来はとても暗いものだと思うかもしれない。だけど、そうやって悲観することは正しくないんだ。

日本は実は非常に豊かな国だ。日本は世界で3番目の経済大国で、あなたが大人になった頃にも、この順位は大きく変わることはないだろう。

日本には、人的資本(ヒューマンキャピタル)といって、有能なたくさんの人がいる。多くの日本人は、学力や高い教育だけでなく、ソフトスキルと言って、置かれた状況でどうすべきかを判断するスキルに長けている。その他、日本の科学やテクノロジーからくる可能性も高く、新しいものを創り出したり、今世紀に人類が直面する様々な問題を解決することだできるだろう。

なので、日本にはまだまだチャンスはあふれている。自分の人生を切り開ける人にとってはバラ色の人生の待ってるんだよ。だけど、残念ながら、人に指示されたことしかできなかったり、さっき言ったような「社畜」みたいになってしまうと、残念ながら厳しい人生になるかもしれない。

3.ではそのために今君ができることは何だろうか。

(i) 自分の頭で考え主体的に生きる習慣をつけること

自分がどう生きるかは、親や教師が決めるものではなく、自分で決めるものだ。君が考えたことに対して親や教師は「あーでもない、こーでもない」と反対するかもしれないけれど、親や教師は多くの場合、古い価値観で生きているので、今のことも将来のこともよく解っていないんだ。

例えば、学校で買っている漢字のドリルがあるよね。あの漢字のドリルのように、ひたすら漢字を書いて憶えるという方法は、日本人が何十年も続けてきたことだ。だけど、ただ根性と時間を使って書いたからといって、君の身につくのだろうか。もしそうではないのなら、君の貴重な時間を使ってどんな風に勉強すれば漢字を使いこなせるようになるのか、どんな風に工夫できるのか、自分で考えてみよう。

この、「勉強方法を自分で工夫する」というのは、実はとても大切なことだ。なぜかというと、君が活躍するころの世の中は、物事が変化するスピードが早いからだ。若いうちに身に着けた知識やスキルはいずれ古くなってしまうので、君が生きている間、常に新しいことを学び続ける必要があるんだ。常にいろんなことを学び続けられるのは、それだけ人生の可能性が広がって楽しいと思うよ。ただし、そうするには、自分に合わない非効率な勉強をしていては、ダメだ。だから、自分で勉強方法を工夫してゆくことだ。

(ii) 次に、自分の好きなことを、リスクを取ってでも追求するということ

何かを成し遂げた人は多くの場合、子供の頃に好きだったことや情熱を抱いていたことを大切にしてきて、それが将来につながっているんだ。今は将来に繋がるとはわからなくても、君が好きなものや得意なものというのは、君にものすごいパワーや可能性を与えてくれるはずだ。なので、たとえ親に反対されても、自分でリスクを取って好きなことに追求するという心構えが必要だよ。

(iii) 言葉の力と考える力を磨くこと

これからの時代、どんなに立派なエンジニアやコンピュータプログラマーの学位やスキルを持っていても、他の人とコミュニケーション取ったり自己ブランディングをするような能力がなければ、どうしても「他の誰かに使われる人」に終わってしまう可能性が高い。

自分の人生を切り開くためには、言葉を使いこなし、自分の思いを他の人に伝える必要がある。なので、言葉の力を侮ってはいけない。

そして、言葉の力を磨くことの素晴らしさは、言葉をつかって、考える力をグンと伸ばせるということだ。

5年生になって国語の教科書の内容が難しくなってきたね。それはなぜかと言うと、10歳くらいから「抽象的思考力」という、目には見えないけれど、頭の中で考えられるようになる練習を始めるからだ。この抽象的思考力こそが、言葉を使って考えるための、とても大切なツールになるんだ。

言葉は何歳になっても学び続けて、常に自分のコミュニケーションの力を磨きつづけよう。他の人に自分のアイディアや自分自身を知ってもらうと、いろんな可能性が拓けて、楽しいと思うよ。
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いかがでしょうか。皆さんなら、10歳の子供から冒頭のようなことを尋ねられたら、なんて答えますか。

それでは!



愛と人間味あふれる!日本女子バスケを優勝にみちびいた知将に学ぶ、リーダーシップの知恵

全日本女子バスケットボールチームを優勝に導いた監督から、私達はどんなリーダーシップの知恵を学べるでしょうか。

先週末(2021年10月3日)に、女子バスケット・アジア大会(国際バスケット連盟主催)の決勝戦で、日本が中国に勝ち、優勝しました。

中国は日本よりも世界ランキングが上で、かつ、平均身長190cmと、体格でも圧倒していました。日本選手は、そんな強豪国を相手に果敢に攻め、接戦がつづくなか、残りわずかな時間でもあきらめず、最後の1分で逆転し勝利しました。

大会が行われたのが、私の住むヨルダンだったため、私も準決勝と決勝で会場に応援にかけつけていました。勝った瞬間、感激して少し涙ぐみそうになりました。

コロナで観客も少なくいなか、私は最前列に座りました。目の前が日本選手のベンチだったので、ベンチでの様子、選手と監督とのやり取り、アイムアウト(試合中の小休止)やクォーター間での作戦会議での様子を見ることができ、監督が選手にかける言葉もところどころ聞けるほどの距離でした。

そんな中で強く印象に残ったのは、日本代表を率いる恩塚監督のリーダーシップでした。(もちろん、選手たちがまず素晴らしかったのですが。)

恩塚監督は、今年夏の東京五輪で銀メダルに導いたホーバス監督の後任として就任し、このアジア大会が始めての主要国際大会でした。

その恩塚選手のリーダーシップや選手との関わり方が、経営論やリーダーシップ論の教科書にお手本として出てきそうなほど素晴らしかったです。

恩塚監督のリーダーシップから、スポーツチームのリーダーだけでなく、あらゆる人(子供を育てる親、教育現場で子供に教える教師、企業や組織で人をまとめる、など)にとって、普遍的な知恵を学べると思いました。

では、恩塚監督のリーダーシップから学べることは、どんなことでしょうか。

1.愛にあふれるアプローチ:選手たちの自信を高め、やる気を引き出す

恩塚監督は、交代してベンチ入りした選手をいたわる言葉をかけたり、常に前向きでポジティブな言葉をかけ、選手たちの自己肯定感、自信を高めていたました。 

日本女子はこのアジア大会で5連覇がかかっているなか、恩塚監督には相当なプレッシャーがかかっていたはずです。

そんなとき、新米リーダーは、プレッシャーや期待から、時にメンバー(や部下)にダメ出ししがちです。

しかし、こちらの恩塚監督は、選手に過度なプレッシャーをかけることなく、前向きで愛にあふれる言葉をかけ、選手を勇気づけていました。

そういう監督だからこそ、選手たちが夢に向かうためのやる気を引き出し、試合の最中に自信を持って自らが判断出来るのだと思います。

2.強い意志と冷静な頭脳

良いリーダーは、組織を導くための戦略を立てられる頭脳や強い意志が必要です。

恩塚監督は、試合中の作戦会議で、選手たちに状況を的確に説明し、きっぱりと指示を出していました。真剣な強い眼差しで、選手たちに説いていました。

中国に差をつけられていた第3クオーター後の作戦会議でも、冷静に知的に選手に戦略を説明していました。

恩塚監督は、疑いなく、すぐれた知将でもありました。

3.コミュニケーションの達人

そして、実際にかける言葉だけでなく、言語外コミュニケーション、つまり、話す時の目線や話し方も素晴らしかったです。そういう言語外コミュニケーションもあって、監督の言葉が選手の心に響いていたようでした。

そして、素敵な笑顔が溢れていたところがまた素晴らしかったです。どうしても女子チームの男性コーチと言うと、しかめっ面をして大声でまくしたてるメージがあります。恩塚監督はそんなことはなく、さわやかな笑顔に溢れていました。

4.人間味あふれる魅力

恩塚監督は、とても感情表現が豊かで、特に重要な場面で選手が得点した時には、満面の笑みで全身で喜びを表現していました。

終盤、残り1分のところで、オコエ選手が逆転ゴールを決めた時には、恩塚監督は全身で喜びを表していました。英語版のスポーツキャスターが、その様子をみて「オー!コーチ・オンズカ!!!」と言っていた場面が、YouTubeハイライト版にも残っています。

そんな風に、全身全霊で喜びを分かち合ってくれるリーダーって、人間味あふれて素敵だなぁと思いました。

 

以上が、私がみた、恩塚監督に学ぶリーダーシップの知恵です。

家庭での子育てにも、教育現場でも、会社などの組織でも、役立つヒントがたくさんありますね。私も、日々子供と接する中で、恩塚監督を見習ってみたいです。

なお、こちらの恩塚監督と日本バスケチームについての記事も興味深いです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5c393d67ed4da1c64a1d6bb93905bb0eab3772bc?page=1

 

それでは!