ママ・エコノミストの最適化ライフ

子育て・教育、経済や世の中のこと、グローバルなこと、ライフスタイルについて考えていることを書きます。

大きな悲しみを乗り越えて、これからの日本のために考えたい2つのこと

安倍元総理が亡くなられたことについて、心からお悔やみを申し上げます。

 

私は第1次安倍内閣の頃に安倍元総理をサポートする立場におりました。財務省から出向していた内閣府で、徹夜で当時の安倍首相の国会答弁原稿を書いた日々を、懐かしく思い出します。

 

私は政治思想については安倍元総理とは異なる立場でしたし、安倍政権下の具体的な政策に異論もありました。それでも、安倍元総理の「日本を良くする」という志には賛同し、元総理が政治家として成し遂げた業績には心からの敬意を抱いています。

 

安倍元総理は「未来に向かって日本を良くする」ために大きな努力をされ、第2次安倍政権では7年にも及ぶ長期政権の舵取りをしながら日本の存在感を世界に力強く発信されていました。今世紀に入ってからの日本の首相として、安倍元総理は、小泉純一郎元総理と並んで、世界に日本の世界の人々に長く記憶される首相であったとこには間違いありません。

 

安倍元総理が今回のような形で命を落とされたことは、悲しく残念でなりません。

 

今回のことで私が危惧していていることが2つあります。1つ目は、今回のことが日本の言論環境や政治家の実行力に及ぼす影響です。2つ目は、安倍政権家での政策を冷静に評価し将来につなげることができなくなる可能性です。

 

1.日本の言論環境や政治家の実行力への影響

 

現の在日本は与党が圧倒的に強く野党が極端に弱いため、ただでさえカウンターバランスが働かず現政権の政策へのチェック機能も甘くなりがちです。これに加えて、今回のことにより全国で今回の犯人の模倣犯が現れることを恐れ、与党野党含めて日本の政治家が自分に危害が及ぶのを避けて、国民に対して「甘いこと」しか言わず、厳しいことをあえて言うような言論が萎縮され、政治家が当たり障りのないことしか実行しなくなる可能性があります。

 

日本は少子高齢化に伴う財政への圧迫、賃金・給与が上がりにくいこと、他の先進国に比べてデジタル化が遅れるなどして生産性が高まらないこと、円安、といった多くの課題を抱えています。ですので、政治家が国民(特に、選挙に対して大きな影響を持つ地方の高齢者)に対して「甘いこと」ばかりを言っていては、日本を良くすることはできません。将来の成長を促す分野に国家のリソースを投入するために、社会保障の見直しなど国民に対して厳しいことを求めていかなければいけません。

 

政治家が選挙民に「甘いこと」ばかり言って大切なことを実行しない場合、最も困るのは、若者と子供です。既に、社会保障等への支払いにより、国家予算のなかで十分なお金が教育に投資されるのが難しくなってきています。若者や子供にとっては、自分たちに十分に投資されないばかりか、将来的には負の遺産を背負わされることになるのです。

 

2.政策の冷静な評価

 

7年間に及んだ安倍政権において、アベノミクスと呼ばれた、積極財政と大幅な金融緩和が長期間取られており、現在も基本的にはそのスタンスを踏襲しています。大規模かつ長期に及ぶ政策ですから、当然ながら影の部分もあります。例えば、現在の円安は、安倍政権の頃から円安が事実上志向され金融緩和が取られてきたことに起因します。これから日本が現状を打開し前に進むには、アベノミクスの点検をしなければいけません。

 

もし、安倍元総理を弔うあまりに安倍政権下での政策が神格化され「批判してはいけない」という風潮になってしまったら、冷静な政策議論もできなくなります。



以上、ポテンシャルに溢れる美しい国・日本が、安倍元総理の悲しみを乗り越え、言論環境をひるませることなく、冷静な政策評価を行いながら、ますます強くなることを願ってやみません。